主人公のジェット(27歳の女性)には先天的に肝臓の病気がある。大学卒業後にロースクールに入ったが中途で辞めて就職したものの会社と合わず実家に戻っていた。ある晩、自宅で何者かに襲撃されて重傷を負う。脳内に動脈瘤が形成されていてほぼ1週間でそれが破裂して死に至ると診断された。ジェットは残された時間で自分を殺害しようとした人物を探し出すことに決めた。警察のような捜査権もなければ科学的な手法も使えないので、推理と彼女の周囲の人物への聞き取りの方法で捜査を進める。協力するのは幼馴染のビリーで彼は幼いころからジェットに好意を抱きつ続けていた。聞き取りが進むにつれて、それぞれの人物には殺害のチャンスや動機の可能性が浮かんでくる。一方、警察の捜査ではジェットの元恋人であるJ.J.を逮捕した。ジェットとビリーは襲撃に使われたハンマーと持ち去られていたジェットのスマートフォンをある場所で発見する。自分の周辺にいる誰かが犯人であるはずだ。そして各人にはそれぞれ秘密にしていることがあったことが分かってくる。それらの秘密が犯人の特定に決め手になるに違いない。スリリングな展開で読者を惹きつけるストーリーテリングは巧い。最後に、全ての謎解きが明らかになるが、およそ10ページにわたる長広舌は見事なもの。ミステリーとしての完成度は高い。そもそもの設定には非現実感が強い。最後の7日間をジェットのように鋼鉄のようなメンタリティを保てる人はいないだろう。しかし物語を面白くするための仕掛けとして有効に機能しているからこれでいいと思う。翻訳も文句なしで巧い。因みに原題は"Not Quite Dead Yet"と韻を踏んで語呂がいいが、日本語の書名は直訳的にしなかった。「~として」と付けたのは訳者のセンスの良さを感じた。