本の感想「NANOOK」星野道夫(クレヴィス)2026_07
本書は星野道夫の写真集でこの度出版された。出版のことは知らなかったのだが、たまたま図書館の新刊コーナーで見つけた。NANOOKは現地語でホッキョクグマのことで本書に収められているのはホッキョクグマのみである。過去に発表された作品をまとめたもので、本書で初出の作品があるのかどうかは分からない。星野さんの作品はデジタル以前だったので、原版はリバーサルフィルムで残されている。1996年に亡くなったのだから少なくとも撮影後30年以上は経過している。保存管理はしっかりしてあるのだと思うが、物理的に原版の退色や変色は避けられない。おそらくデジタルデータ化しているのだろう、本書の印刷は良好である。ホッキョクグマはアザラシを捕食する大型の肉食獣であるが、星野さんの写真からは獰猛さや荒々しさは読み取れない。むしろとても穏やかで静寂感のあるシーンが捉えらている。どこまでも広がる雪原に1頭だけ写された作品には深い寂寥感が表現されている。