2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧
本の感想「散歩の一歩」黒井千次(講談社) 2011_11 1988~2011年に初出のエッセイ集。「車内の教訓」で紹介されたエピソードは、電車に勤め帰りらしい若い二人連れの女性が乗って来たことから始まる。そのうち1人が席に座った。その席は優先席ではない。その…
本の感想「舞台!」近藤史恵、他4名(創元文芸文庫)2024_03 5人の作者、近藤史恵、笹原千波、白尾悠、雛倉さりえ、乾ルカによる短編集で、それぞれの作品には舞台に関りをもつ人物が主人公になっている。演ずる側からだけでなく観劇する側からの視点で書か…
本の感想「シン・ファイヤー」稲垣えみ子・大原扁理(百万年書房)2024_07 書名の「シン」は「真の、新しい」で「ファイヤー」は"Financial Independence, Retire Early"のことで「経済的に独立して早期に退職する」ということ。稲垣氏の経歴は知っていたし…
本の感想「老いの歩み」黒井千次(河出書房新社)2015_06 1980年代半ばから2015年までに書かれたエッセイをまとめたもの。著者の年齢では五十代から八十代までである。 「苦しみの消滅」は「新潮」1992年3月号に掲載された。引用は次の通り。「子供の読む童…
本の感想「老いのつぶやき」黒井千次(河出書房新社) 2012_05 様々な媒体で発表されたエッセイをまとめたもので初出の期間は1995年から2011年までとなっている。 「追うもの追われるもの」は文藝春秋の2001年9月に掲載された。引用は幸と不幸とを考察してい…
本の感想「愚か者の石」川﨑秋子(小学館)2024_06 明治18年、北海道月形の樺戸集治監に送られる囚人の一人が主人公。社会の中で自由を求める活動をしている集団に関与したことで罪人となった。物語は監獄での生活を描く。野外作業をするときにコンビになっ…
本の感想「老いのゆくえ」黒井千次(中公新書)2019_06刊 このシリーズの3巻目で、初出は読売新聞の連載、2016年4月から2019年4月までのものを収めている。 「残された時間と書物」から引用。書物をどう処理していくかということについて。「八十代にさしか…
本の感想「山・原野・牧場ーある牧場の生活」坂本直行(山と渓谷社)2021_10刊 昭和12年4月に出版されたもので、1959年に再販された。本書は文庫版で再再販になったものである。昭和初期の十勝の開拓農場での四季折々の生活の様子を描いている。冬の2月から…
本の感想「老いの味わい」黒井千次(中公新書)2014_10刊 このシリーズの2巻目に当たる。初出は読売新聞の連載エッセイで2010年から2014年まで。著者の年齢では78~82歳にかけての味わいのあるエッセイである。 「何がそれほど『オックウ』なのか」からの引用…
本の感想「湖上の空」今村翔吾(小学館文庫)2022_10刊 著者は歴史小説を書く作家であるが、作品を読んだことはなかった。図書館の新着コーナーで見つけてたまたま読んでみた。エッセイ集である。著者の経歴がちょっと変わっていて30歳までは家業のダンスイ…
本の感想「タマリンドの木」池澤夏樹(文藝春秋)1991_09刊 先日、池澤氏の新刊本を読んでいて本書に言及があった。どんな内容だったか思い出せなくて再読した。前に読んだのはいつだったか分からないが、相当昔だったと思われる。読んでいて全くストーリー…
本の感想「老いのかたち」黒井千次(中公新書)2010_04刊 読売新聞の連載エッセイでこのシリーズ4巻の1巻目に当たる。初出は2005年から2009年まで。 「健康番組、もういいよ」ではともすると行き過ぎたことになってしまいがちな傾向に対して一言述べている。…
本の感想「Medieval Legends 中世ヨーロッパ物語集」Adapted and Edited by Philip S. Jennings 三浦常司 今井光規 編注 (英宝社)1989_10刊 大学の授業用のテキストだが、英文科レベルの内容になっている。元になっているMedieval Legendsには20作品が収め…
本の感想「老いの深み」黒井千次(中公新書)2024_05刊 読売新聞の夕刊に連載したエッセイをまとめたもの。連載は著者が73歳の2005年から始まっていて20年ほど続いている。中公新書では本書の他ににすでに3冊がシリーズ化されているので順次読むことにしたい…
本の感想「あなたの燃える左手で」朝比奈秋(河出書房新社)2023_06刊 ロシアとウクライナとの争いの中で妻を失った日本人が医療ミスにより左手を切断されてしまった。やがて移植手術を受けることになった。手術は成功したが左手に違和感を感じている。著者…
撮影 「千歳川のアジサイ」7月20日 昨年はこの場所のアジサイはかつてないほどの「外れ年」でした。今年はいつも通りに咲いています。水滴写真を狙って雨上がりに撮影したいのですが、昨日の雨はもはや水滴として残っていませんでした。日光が当たると影が強…
本の感想「雪原の足あと」坂本直行(山と渓谷社)2023_05刊 文庫の復刻版で初出は1965年。坂本氏が開拓農家として暮らした時期や、道内各地の山行の記録をまとめたもの。アイヌの古老との思い出は2話に渡って取り上げている。生涯で80頭以上のクマを撃ったと…
本の感想「原野からみた山」坂本直行(山と渓谷社)2021年02月刊 本書は文庫で復刊された。初出は1957年でかなり古い。坂本氏は画家としての顔しか知らなかったのだが、かなり本格的な登山家で若い頃は冬季のペテガリ岳に挑んだりしている。大正末期から昭和…
本の感想「ジブリをめぐる冒険」鈴木敏夫 池澤夏樹(スイッチ・パブリッシング)2024_03刊 池澤氏がジブリのプロデューサーの鈴木氏をインタビューしたものに、いくつかのえっせいを加えてある。初回のインタビューは2023年5月23日に行われた。「君たちはど…
本の感想「What a Wonderful World この素晴らしき世界」岩合光昭(クレヴィス)2024_05刊 岩合氏の最新刊の写真集であり世界各地で撮影された作品が収められている。珍しいことに最初の11作品には生き物が映っていない。迫力のある風景写真が続いている。岩…
本の感想「ごんぎつね でんでんむしのかなしみ 新美南吉傑作選」新美南吉(新潮文庫)2024_05刊 本書の購入にはちょっとした手数がかかった。今月初めの新聞の書評で紹介されていて本書を知り、近所の書店で注文した。すると出版社に在庫がないという連絡が…
本の感想「作家のおしごと」五木寛之(東京堂出版)2019_02刊 月に一度NHK R1の「ラジオ深夜便」で五木氏との対談を聞く。今月の番組で本書への言及があり、以前読んだことがあったことを思い出した。そのきっかけで再読した。五木氏がこれまでどのような仕…
本の感想「完本 神坐す山の物語」浅田次郎(双葉社)2024_06刊 先月読んだ「神坐す山の物語」浅田次郎(双葉社)の完本ということで2つの短編を増補して11作品を収める。前作を読んだときに再読だったので、9作品は3回目の再再読になった。先月読んだばかり…
本の感想「谷から来た女」桜木紫乃(文藝春秋)2024_06刊 短編6作品を収める。それぞれにアイヌの出自の登場人物がいてストーリーの中核になっている。書名の「谷」は二風谷をモデルにしている。6作品の最後は「谷で生まれた女」というタイトルで、アイヌの…
本の感想「別れを告げない」ハン・ガン 斎藤真理子 訳 (白水社)2024_04刊 分かり難い作品だった。最初の40頁ほどを読んで、どうも掴みどころがなくて一旦読むのを止めた。数日の間を空けて、再度最初から読み始めた。それでも読んでいても流れを捉えること…
映画の感想「The Holdovers / ホールドオーバーズ」 昨年末に「Perfect Days」を見て以来、ずっと映画館を訪ねる機会がなかったが、ようやく本作品で映画鑑賞した。舞台になっているのはボストンの近くにある全寮制の男子校である。1970年のクリスマス休暇…
本の感想「ナットとボルト」ロマ・アグラワル 牧尾晴喜 訳 (草思社)2024_07刊 著者は構造エンジニアで多くの有名な建造物の構造設計に関わった実績を持つ。本の副題に「世界を変えた7つの小さな発明」とある。釘、車輪、バネ、磁石、レンズ、紐、ポンプの…
本の感想「鳥と港」佐原ひかり(小学館) 2024_06刊 大学院を出て会社勤めをしたが会社に適合できず9が月で退職した25歳の女性と、不登校の男子高校生があるきっかけで知り合いになった。二人は有料の文通をビジネスとして起業した。ある有職者がSNSでこの情…
本の感想「定年自衛官再就職物語」松田小牧(ワニブックスPLUS新書) 2024_05刊 自衛官は階級によって定年が異なるが、56歳で退官するケースが一番多いのだという。昨今は公務員や民間企業でも65歳まで定年が延長されるようになってきたが、それと比べて自衛…
本の感想「笑う森」荻原浩(新潮社)2024_05刊 発達障害の5歳の子供が森の中で母親とはぐれてしまった。72時間をすぎて生存の可能性が小さくなったが、捜索が続き1週間に無事に保護された。不思議なことにその間にに誰かが食事を与えるなどの保護をしていた…