2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

本の感想「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田静香

本の感想「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田静香(左右社) 大事なことなので最初に記すが、書名が長すぎるのは駄目。著者には「前科」がある。「時給はいつも最低賃金、これって私…

本の感想「七四(ナナヨン)」神家正成

本の感想「七四(ナナヨン)」神家正成(宝島社) 先に読んだ宮部みゆき氏の書評集から選んだ本だが、読み始めて直ぐにかつて読んだことがあることに気付いた。出版は2016年なので読んでから7~8年ほど経っていると思われる。所々、場面を覚えていたが全体の…

本の感想「遺体鑑定医加賀谷千夏の解剖リスト」小松亜由美

本の感想「遺体鑑定医加賀谷千夏の解剖リスト」小松亜由美(角川文庫) 主人公は法理解剖医で若手の実力者。京都を舞台にして司法解剖の現場で活躍している。この本はシリーズの2作目に当たる。1作目は「誰そ彼の殺人」だが、図書館では貸し出し中だったので…

本の感想「シャーロックホームズの冒険(シャーロック・ホームズ全集3)」アーサー・コナン・ドイル

本の感想「シャーロックホームズの冒険(シャーロック・ホームズ全集3)」アーサー・コナン・ドイル 小林司・東山あかね訳 (河出書房新社) 前週の第3巻でこのシリーズは読むのが2冊目となった。短編12作品を収めている。長編よりもこのぐらいの長さの作品…

本の感想「葬送のお仕事」井上理津子

本の感想「葬送のお仕事」井上理津子 (解放出版社) 『シリーズお仕事探検隊』の1冊で、このシリーズは中高生向きで進路ガイダンスのような位置づけになっている。退職した身にはそういう目的ではマッチしていないのだが、職業紹介というジャンルはなかなか…

本の感想「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子

本の感想「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子 三浦裕子 訳(中央公論新社) 昭和13~14年の台湾社会を日本の小説家の現地滞在記の形で描く。小説家は自身の作品が映画化されて台湾でも上映されたことがきっかけで、当地の文化団体から招待を受けた。1年余りの滞在…

本の感想「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本2015~2019」宮部みゆき

本の感想「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本2015~2019」宮部みゆき(中公新書ラクレ) 「本よみうり堂」は読売新聞の書評欄である。宮部氏の新作は最近読んでいないが書評を読売新聞で書いていたとは知らなかった。ということで、早速読んでみ…

本の感想「介護者D」川﨑秋子

本の感想「介護者D」川﨑秋子(角川書店) 介護者Dとは主人公のことで、A~Dランクの最下層にランクされているということを表す。主人公は介護離職で東京を離れて、札幌の実家に戻った。妻を亡くした後、一人暮らしだった父親は脚の具合が悪くなって、冬季間…

本の感想「ラストエンペラー」楡周平

本の感想「ラストエンペラー」楡周平(角川書店) トヨタ自動車をモデルにしていると分かる企業小説だが、この業界はEVシフトの渦中にあり、技術開発やら他メーカーとの提携などの戦略も描かれる。EVシフトが進むと石油の消費量はどの程度減少するのだろう?…

本の感想「鯨の岬」川﨑秋子

本の感想「鯨の岬」川﨑秋子(集英社文庫) 表題作「鯨の岬」と「東陬遺事」の2作品を収める。前者は札幌在住の主婦が主人公でその日常を描く。2世帯住宅に住み、息子夫婦は共働きで、孫の世話をして日々を過ごしている。夫との生活にはとりわけ大きな不満は…

本の感想「鉄道員という生き方」大日方樹

本の感想「鉄道員という生き方」大日方樹(イースト新書Q) この新書は「仕事と生き方シリーズ」になっていて、他に、「気象予報士という生き方」とか「警察官という生き方」など10点余が出版されている。著者は相模鉄道に就職して様々な業種を体験した後に…

本の感想「逃亡者」中村文則

本の感想「逃亡者」中村文則(幻冬舎) 第2次大戦のフィリピンでとびぬけて巧みにトランペット演奏をする日本兵士がいた。使用していたのはある楽器職人が心血を注いで製造した一品物の名品。その楽器が何者かによって盗まれた後に偶然秘密裏に日本人のフリ…

本の感想「私労働小説 ザ・シット・ジョブ」ブレイディみかこ

本の感想「私労働小説 ザ・シット・ジョブ」ブレイディみかこ(角川書店) 短編6作品を収める。ブレイディ氏の実体験が元になっているもので、渡英前の福岡でのアルバイト生活のことやら、渡英後に経験した住み込みのナニー(ベビーシッター兼家庭教師のよう…

本の感想「一気にわかる!池上彰の世界情勢2022」池上彰

本の感想「一気にわかる!池上彰の世界情勢2022」池上彰(毎日新聞出版) このシリーズの2024が新刊で出ていて、図書館で予約した。2023は貸し出し中だったので2022を借りてきた。「コロナの先の世界編」となっていて2021年を振り返る内容になっている。だか…

本の感想「沈黙法廷」佐々木譲

本の感想「沈黙法廷」佐々木譲(新潮社) 警察小説は作者の十八番の分野である。裁判の様子も描かれる。新聞に連載した作品で連載期間が長く14カ月あった。そのせいか展開はいささかスロー過ぎるような印象もあった。読み易さは担保されている。 事件はある…

本の感想「あとかた」千早茜

本の感想「あとかた」千早茜(新潮社) 連作の短編で様々な男女関係を描く。出先で90分ほどの待ち時間があって暇つぶしの目的で持参して読んだ。ちょっと落ち着かない環境で読んだこともあったせいかもしれないが、あまり面白くないというのが正直な感想だっ…

本の感想「バビロン行きの夜行列車」レイ・ブラッドベリ

本の感想「バビロン行きの夜行列車」レイ・ブラッドベリ 金原瑞人・野沢佳織 訳(角川春樹事務所) 21作品を収める短編集。ブラッドベリは高校生ぐらいの時に映画で「華氏四五一度」を映画で見たのを覚えている。その後、文庫本で原作を読んだ。なにしろ映画…

本の感想「恐怖の谷 シャーロックホームズ全集7」 アーサ・コナン・ドイル

本の感想「恐怖の谷 シャーロックホームズ全集7」 アーサ・コナン・ドイル 小林司・東山あかね 訳 (河出書房新社) シャーロックホームズのシリーズを読むのは初めてだった。たまたま図書館の新刊コーナーで見つけた。昔からの名作であるのでとりあえず一…

本の感想「逃げたっていいじゃない」香山リカ

本の感想「逃げたっていいじゃない」香山リカ(株式会社エクスナレッジ) 何から逃げるのかは人それぞれであるが、例えば次のようなものから。会社から、SNSから、親から、家族から、配偶者から、成果主義から、ジェンダーから、昭和的な美徳から etc という…

本の感想「ブレイク」真山仁

本の感想「ブレイク」真山仁(角川書店) 図書館の新刊コーナーにあったのを手に取ってみた。真山氏の作品は過去に1~2つ読んだことがあったと思うが、格別な印象は残らなかった。この作品は日本のエネルギー政策を取り上げていて、地熱発電の開発によって…

本の感想「なるようになる。」養老孟子

本の感想「なるようになる。」養老孟子 聞き手 鵜飼哲夫(中央公論新社) 養老氏の伝記風の本で、読売新聞の鵜飼氏が養老氏にインタビューしてまとめて書いたものが書籍になった。養老氏自身が様々なエッセイなどで自分の過去の出来事や生い立ちを記したもの…

本の感想「アラブからこんにちは2」ハムダなおこ

本の感想「アラブからこんにちは2」ハムダなおこ(国書刊行社) 著者は1990年にUAEの男性と結婚してUAEに移住した。30年以上現地での生活体験がある。この本はイスラムの生活文化を具体的な事例をあげて紹介している。こういうジャンルの本を読んだことがな…

本の感想「赦しへの四つの道」アーシュラ・K・ル・グィン(小尾芙佐 訳)

本の感想「赦しへの四つの道」アーシュラ・K・ル・グィン(小尾芙佐 訳)新潮社 4作の短編を収めている。ル・グィンの作品は「ゲド戦記」のシリーズ以外は多分1作品を読んだことがある。よく分からなかったという記憶がある。この本は2023年の新刊だが作品自…

本の感想「Forgive Me, Leonard Peacock」Matthew Quick

本の感想「Forgive Me, Leonard Peacock」Matthew Quick (Little, Brown and Company) 洋書の注文はもっぱらAmazonを利用するが、この本は中古本で安いものがあった。¥780(送料込み)ぐらいだった。半月ぐらいかかって届いたのだが、中古らしくかなり草臥…