2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

本の感想「くもをさがす」西加奈子

「くもをさがす」西加奈子(河出書房新社) 著者は家族とともにバンクーバー市で暮らしていた時に癌を発症した。日本と異なる医療システムにどまどったり、言葉の不自由にも悩まされながら、治療に取り組んだ記録である。癌に限らず重篤な(あるいは重篤でな…

本の感想「ティラノサウルス解体新書」小林快次

「ティラノサウルス解体新書」小林快次(講談社) 本の「はじめに」で、NHK R1の人気番組「子ども科学電話相談」のエピソードが記してある。私はこの番組で著者を知って、以来、敬愛の意を込めて著者は「小林先生」だ。恐竜についての本をたまに読むようにな…

本の感想「翻訳のさじかげん」金原瑞人

「翻訳のさじかげん」金原瑞人(ポプラ社) 多くの翻訳を手掛けている著者なのでそれと気づかないままに、金原氏訳の本を読んだことはあったのだろうと思う。エッセイを読むのはこれが初めてだった。4つのジャンルに分類されていて「食」「言葉」「翻訳」「…

本の感想「家事か地獄か」稲垣えみ子

「家事か地獄か」稲垣えみ子(マガジンハウス) 自分の身の回りのことを自分自身でできるスキルは誰にとっても必要なこと。にもかかわらず、そのことを誰かに委託することができるとしたら、それはその人自身の幸せ感や豊かさに貢献するのだろうか?稲垣さん…

本の感想「ニュースなカラス、観察奮闘記」樋口広芳

「ニュースなカラス、観察奮闘記」樋口広芳(文化統合出版) 書名の通り、カラスの観察研究の記録・考察である。一般向けなので読みやすい。奮闘記とあるのは、例えば、必要に応じて路上からカラスを長時間観察することがあるのだが、朝から暗くなるまでの長…

6月の山行 無意根山

無意根山にはずいぶん昔に豊羽鉱山から2度登ったことがあります。今回19日の山行では別ルートを使い、薄別から入りました。色々と予定外のことがあって、山頂には夕刻、17:53登頂しました。この時間なので誰もいませんが、景色は良好でした。当初の予定を変…

本の感想「墨のゆらめき」三浦しをん

「墨のゆらめき」三浦しをん(新潮社) 2月に発刊された「好きになってしまいました。」(大和書房)が久しぶりのエッセイ集で相変わらずで楽しく読むことができた。この作品は書き下ろしで新作である。大分長いこと新作を待っていたように思う。期待に違わ…

本の感想「音楽と生命」坂本龍一 福岡伸一

「音楽と生命」坂本龍一 福岡伸一 (集英社) この2人が何度も対談をしているほどに親交があったということはこの本を読むまで知らなかった。福岡氏のエッセイは出版されるたびに読んでいるが、坂本氏との交流について記されていたのを読んだ記憶がない。 「…

ルピナス 撮影

雨上がりの朝に庭のルピナスを撮影しました。ルピナスは10数年前ぐらいにどこかから種が飛んできたらしくて根付きました。この植物はたくさんの種をつけますし、多年草なので、ほおっておくとどんどん増えてきます。毎年、ある程度間引きますが年々より広く…

本の感想「老いてもいい、病んでもいい」香山リカ

「老いてもいい、病んでもいい」香山リカ(新日本出版社) 著者は2022年から北海道むかわ町穂別の診療所で医師としての勤務を始めた。その動機の一つには中村哲氏の「聴診器をスコップに持ち替える」という言葉があったのだという。香山氏は「大学での教鞭や…

本の感想「四日間家族」川瀬七緒

「四日間家族」川瀬七緒 (角川書店) ネットで知り合った自殺志願者の4人は、おんぼろ車で山中の道に入っていく。車のドアを目張りして練炭を燃やそうという計画。その時、1台の車がやって来た。気付かれないように車内灯を消して息をひそめる4人は、車から…

本の感想「サーカスの子」稲泉 連

「サーカスの子」稲泉 連 (講談社) 著者は幼い頃にサーカス団で1年ほど暮らしていた経験がある。母親がサーカス団で炊事の仕事をしていたからだ。その1年ほどの間に一緒に過ごしたサーカス団員たちと30年ぐらいのブランクを経て、再会してインタビューを試…

本の感想「坂の途中の家」角田光代

「坂の途中の家」角田光代(朝日新聞出版) 主人公の女性は幼い女の子の母親で補充裁判員に選出された。担当する裁判は若い母親が被告で、自身の幼い娘を殺害した容疑。主人公は子育てする中で日々感じる困難や心的な疲弊と向き合っていて、裁判が進むにつれ…

本の感想「からだの美」小川洋子

「からだの美」小川洋子(文芸春秋) 初出が文芸春秋の連載エッセイで123頁の薄い本。たちまち読み終えてしまう。ヒトの様々な美しい動作を分析考察したもの。例えばプロ野球選手のイチローがレーザービームと賞された送球を披露する。私たちの多くはその完…

本の感想「探してるものはそう遠くはないのかもしれない」他2冊 新井見枝香

「探してるものはそう遠くはないのかもしれない」新井見枝香(秀和システム) 2017年 「本屋の新井」新井見枝香(講談社)2018年 「この世界は思ったほどうまくいかないものみたいだ」新井見枝香(秀和システム) 2019年 新井氏の作品を初めて読んでたいそう…

本の感想「胃が合うふたり」千早茜 新井見枝香

「胃が合うふたり」千早茜 新井見枝香 (新潮社) 二人の著者によるエッセイで、同じトピックについて新井氏が先に書いて、それを受けて千早氏が書くという仕立てを取っている。図書館の書架で本の背を見て面白そうなタイトルだと思い、千早氏が作者というこ…