脱力エッセイで三浦氏はこの手の物がとても巧い。日常のちょっとした出来事から妄想力を駆使して読み物に仕上げる。題材は何でもありで、一向に道を知らずに目的地へたどり着けないタクシー運転手とか、驚くほどに手際のいいハチの駆除業者とか、ピカチュウのぬいぐるみとの妄想会話とか。こういうものをのんびりと読むのは至福の時間になるものだ。初出は雑誌のBAILAの2019年6月から2023年9月までで、多分今も連載が継続しているのではないだろうか。だとすれば、また数年後には書籍化されるのが期待できる。楽しみに待ちたい。