本の感想「体の贈り物」レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳

本の感想「体の贈り物」レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳(マガジンハウス)

 原作は1994年に発刊された。アメリカでエイズ患者のサポートの仕事をする女性が主人公で11作品の連作短編集。訳者あとがきから引用すると「エイズ患者を世話するホームケア・ワーカーを語り手とし、彼女と患者たちとの交流をめぐる、生と死の、喜びと悲しみの、希望と絶望の物語」ということになる。さらに続けて「この本は、下手をすると底なしに陳腐になりかねない題材を扱っていながら、少しも陳腐になっていないと僕は思う。そしてそれは、本当に驚くべきことだと思う。作者は、エイズ、闘病、死といったテーマにいとも簡単に付着してしまう余計な「物語」をいっさい排して、いわば現場の実感を、極力ストレートに伝えている。」

 柴田氏のこの解説に付け加えるべきことは何もない。