本の感想「あなたの燃える左手で」朝比奈秋

本の感想「あなたの燃える左手で」朝比奈秋(河出書房新社)2023_06刊

 ロシアとウクライナとの争いの中で妻を失った日本人が医療ミスにより左手を切断されてしまった。やがて移植手術を受けることになった。手術は成功したが左手に違和感を感じている。著者は現役の医師なので医療処置の描写は臨場感がある。手を移植するということが現代の医療で可能なのかどうかは分からないが、臓器移植と比べると移植の結果が直に目に見えるのでその点が随分と大きな違いであるように思われた。ストーリーの中核は移植された左手を主人公がどう意識しているかである。なかなか想像しにくくてしっくりしない印象があった。