本の感想「ブレイク」真山仁

本の感想「ブレイク」真山仁角川書店

 図書館の新刊コーナーにあったのを手に取ってみた。真山氏の作品は過去に1~2つ読んだことがあったと思うが、格別な印象は残らなかった。この作品は日本のエネルギー政策を取り上げていて、地熱発電の開発によって活路を開こうとするストーリーである。再生可能エネルギーとして地熱発電はどの程度のポテンシャルがあるのか知識がないのでまずはこういうフィクションから知識を得たいと考えた。

 ストーリーは政治がらみのパワーゲームの方がメインになっていて、地熱発電に関する情報はあまり有用な内容が少なかったように感じた。ということで、読む目的には期待外れになったように思えた。再生可能エネルギーでは太陽光発電の設置が目立つが、場合によっては森林伐採が広い面積で行われたりするので自然破壊的な状況もある。地熱発電は場所が限定されるし、国立公園内では開発できない。どの方法を取るにしても目先の利益だけでなく将来を見据えた計画を立てないと後になって失敗だったとならないとも限らない。政策はただ「やってる感」を演出するだけのように見えてしまうのだが、本腰を入れて取り組まなければならないと思う。