著者が文楽を好むことは知っていたし、文楽を元にした小説もある。私は文楽については何も分からない。これから先に、鑑賞することもなさそうだ。他ならぬ三浦しをんの本だから読んでみようと思った。文楽の作品解説はどちらかと言うと読みにくかったが、文楽の演者とのインタビューは面白かった。何事もその道の一流どころという人は聞きごたえのある受け答えをするものだ。文楽のような公演がとても少ない古典芸能は実際に鑑賞できるチャンスが限られている。東京や大阪にアクセスのいいエリアに居住していればその気になれば足を運べるものだろうが、地方在住者にはまずめったにそういうチャンスがない。伝統を維持するのも難しくなってくるのかもしれない。
