本の感想「銃を置け、戦争を終わらせよう」高村薫

本の感想「銃を置け、戦争を終わらせよう」高村薫毎日新聞出版

 「サンデー毎日」に連載の「サンデー時評」2021年6月6日~2023年6月18日までを再構成したもの。時評なので連載をリアルタイムで読みたいのだが、「サンデー毎日」は図書館にはないので、いつも書籍化を待って読むことになる。今回は2年ほど前から今年の6月までを振り返ったことになる。東京オリンピックの開催、ロシアのウクライナ侵攻、定見のない政治状況など、高村氏の時評は的確である。ひとつ例をあげると、「赤木ファイル~公正さを失った国の恥を暴け」(2021.7.18)ではこのように締めくくられている。「私たちはいま、大真面目に公正な社会をめざすべきなのだ。(日本が)投資対象としての魅力は失われても、すみずみまで公正さが行き渡った平明な社会は、間違いなく人が生きやすい社会である。」この提言はほとんどあらゆる社会問題の解決のキーであると思う。例えば、目下の問題として処理水の海洋放出のことで言えば、徹底的なモニタリングをして透明性を確保して情報開示することが欠かせない。

 時評だけでなく小説の新作も読みたい。