本の感想「ゼロ以下の死」C.J.ボックス 野口百合子訳 

本の感想「ゼロ以下の死」C.J.ボックス 野口百合子訳 (講談社文庫)

 ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットが活躍するシリーズものの第8作で、このシリーズは以前何冊か読んだことがあった。6年前に事件に巻き込まれて亡くなった養女から娘の電話にショート・メッセージが届いた。テキスト・メッセージのやり取りができるが、通話はつながらない。亡くなったはずの通話相手はメッセージを送る時以外は電話をOFFにしている。送信者は一体誰なのか、亡くなったはずだった養女が生存しているのか?ジョーは他のいくつかの殺人事件とこの送信者のと繋がりがあるのではないかと疑い始める。

 このシリーズを読むとアメリカの地形的な大きさを感じる。日本のそれとはスケールがけた違いだ。自然も時には過度に荒々しい。そういう環境下で猟区管理官としての仕事は想像力が及ばない気がする。こういう小説を読むことは日常性からの離脱という点ではすこぶる有用である。