本の感想「ゴーストハウス」クリフ・マクニッシュ 金原瑞人・松山美保 訳

本の感想「ゴーストハウス」クリフ・マクニッシュ 金原瑞人・松山美保 訳 (理論社

 三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ」で紹介された本。タイトル通りの幽霊屋敷の話。幽霊屋敷ということを知らずに引っ越してきた母と息子が主人公となっている。4人の子供の幽霊と、大人の女の幽霊がいる。当初はその理由は明らかにされないが、子供の幽霊は大人の女の幽霊を恐れている。ある意味で支配下に置かれているような状況がある。その謎がだんだんと解き明かされていく。

 息子は父親を亡くしたばかりで喘息の持病がある。また霊的な能力があってこの屋敷の幽霊の存在に気付く。大人の女の幽霊が邪悪な存在だと分かってきて、被害者である子供の幽霊たちを救済する方法を探っていく。やがて母親も被害の当事者となってしまう。霊界には「あっちの世界」と「悪夢の道」のふたつの世界がある。この屋敷の幽霊たちはそのどちらにも属していないが、自身のエネルギーが渇望してしまうと「悪夢の道」へと引きずり込まれる。女の幽霊はそれを回避しようとして子供たちを利用していた。なかなか奇想天外な設定であるし、所詮は幽霊話だから無理筋を感じることは少なくない。ラストも奇抜だがそれほどしっくりしない印象だった。