本の感想「ヒトはなぜ拍手をするのか」小林朋道

本の感想「ヒトはなぜ拍手をするのか」小林朋道(新潮選書)

 「先生、シリーズ」の著者である小林朋道氏の本で一般向けだが学術的な内容になっている。ヒトの行動を動物行動学から考察するという興味深い内容である。ヒトがなぜ拍手をするのかについては親和性を伝いるためだという解釈をする。動物一般に低い声は敵意の信号として働き、高い声は親和・宥和の信号として働く。拍手の音は音程が高いので親和・宥和の信号となって働いているということ。

 この他にも様々なヒトの行動について考察が紹介されている。例えば、「なぜサングラス姿やポケットに手を入れているのが生意気に見えるのか」「なぜ映画やテレビのドラマをみたがるのか」など。動物行動学というとヒト以外の動物が対象だろうと思ってしまいがちだけれども、ヒトもまた動物の一種である。「なるほど、そういうことだったか」と蒙を開かれる思いがした。