本の感想「わが夕張わがエトロフ」佐々木譲

本の感想「わが夕張わがエトロフ」佐々木譲北海道新聞社)

 三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ」で紹介された本。2008年に刊行されたルポ・エッセイ集だ。佐々木氏と夕張とエトロフにどういうつながりがあったかと言うと次のようなことだ。佐々木氏の父親が1923年エトロフ生まれであること。父親は戦争で招集されて帰国後には夕張の炭鉱で働いた。佐々木氏は夕張生まれで3歳までそこで育った。

 1991年には取材で択捉島を訪ねていてそのルポが収められている。30年以上前のことになるが、当時はゆくゆくは択捉島に日本人も居住できるようになるとか、より簡単に訪問できるとかの期待もあったという。興味深い取材になっている。

 この他には中標津町での暮らしとか、東欧の取材も記してある。著者の小説作品はかなりの数を読んでいたが、こういうエッセイやルポを読んだのは初めてだった。