本の感想「ラストエンペラー」楡周平

本の感想「ラストエンペラー楡周平角川書店

 トヨタ自動車をモデルにしていると分かる企業小説だが、この業界はEVシフトの渦中にあり、技術開発やら他メーカーとの提携などの戦略も描かれる。EVシフトが進むと石油の消費量はどの程度減少するのだろう?必要な電力を賄うのは原子力発電だということになるのだろうか?自動車産業はEVシフトを進める方向にあるにしても電力確保を同時に進めなければならないし、基本的には再生可能エネルギーの発電量を増やさなければ脱炭素は達成しにくい。この作品を読みながら考えていたのはそういうことだった。

 ストーリーとしては企業小説の性格がよくあらわされている。社長の引継ぎ、リストラ計画、技術開発、人材ハンティング、他社との提携などなど。自分の在職中にはあまりこういう生臭いことは身近ではなかったので、こういった小説を読むとドキュメント・ノベルのようにも思えるものだ。