本の感想「貧乏ピッツァ」ヤマザキマリ

本の感想「貧乏ピッツァ」ヤマザキマリ新潮新書

 この本を読む限りヤマザキ氏はとりわけ美食家ではないように思われる。ヤマザキ氏がイタリア留学中の経済的に苦しかった頃に、どんな食生活だったのかを記してある。安くて、まずまず美味しくて、調理が簡単な料理をずっと食べて暮らしていた。昨今の食材の値上がりの中にあっては、私たちが普段食べているものも大方は同じ特徴があるのだろうと思う。結局のところ私たちの多くはそういう料理で生きているのだ。

 あとがきより。「貧乏だからといって、まずいものしか食べられない、ということはない。味覚というのは想像力の力を借りさえすれば、いかようにでも美味しさという幸福感を与えてくれる。イタリアでのド貧乏学生時代には、お金も食べるものも無くなり絶望的な状況に陥ったことが何度もあるが、そんな時にやっとありつけた食事の美味しさだけは克明に覚えている。」

 私自身は食生活に関しては極めて淡泊であって美食にはほとんど一切の関心がない。だけれども日々の食事を蔑ろにするわけにはいかない。毎度、ありつけた食事に小さな幸福感と感謝の気持ちをもっていたいとは思う。