本の感想「土に贖う」川﨑秋子

本の感想「土に贖う」川﨑秋子(集英社

 短編7作品を収める。いずれも北海道の明治~昭和期を舞台にしている。札幌桑園地区の養蚕業、北見のハッカ、野付半島のミンクの養殖、江別のレンガ産業などの隆盛から衰退を描く。北海道の近現代史を地域ごとにフォーカスしたドキュメント・タッチのストーリーが並んでいる。それぞれの主人公たちの生きざまを鮮やかに描いている。先日、直木賞を受賞した「ともぐい」もそうだったが、筆力のある描写に惹かれる。どれも読みごたえのある物語に仕上がっている。