本の感想「老いと孤独の作法」山折哲雄

本の感想「老いと孤独の作法」山折哲雄中公新書ラクレ

 書名が自分向きだったので予備知識なしで読んだ。どんなことでも作法を身に着けるのにはそれなりの修練と覚悟がいる。本書はどういうことをすればいいのかという具体的な指南書とは違っていた。しかしながらいくつかの心構えも紹介していて、例えば次の3項目。「出前の精神~どこへでも自分から出ていく」「手作りの精神~足りない物は自分でつくる。自分の手足を使うこと」「身銭を切る~なけなしの銭でも自分で使うこと」とある。また、「無常を受け入れてきた日本人の死生観」の章では挽歌について次のように解釈している。「挽歌とは、生き残った者たちに向けて差し出す悲しみと慰めの歌だったのだ、ということに気づく。一見それは、死者たちに向けられた死者のための歌のように受けとられがちではあるけれども、じつはそうだはなかったのだ。それは生き残った者たちに向かって、さらに生きよ、と語りかける励ましと慰めの歌だったのかもしれないのである。」