本の感想「ナカスイ!海なし県の水産高校」村崎なぎこ

本の感想「ナカスイ!海なし県の水産高校」村崎なぎこ(祥伝社

 「ナカスイ!海なし県の水産高校」の続編が最近刊行されていて、その書評を新聞で読んだ。ちょっと気になったので調べてみると、その新刊は「ナカスイ!海なし県の海洋実習」。ということでまずは新刊はさておいてこちらの方を読むことになった。

 設定が極めて突飛で、海なし県の栃木県にある水産科の高校ということだ。私たちのほとんどは高校を体験するけれども、水産科を体験する人は極めて少数である。高校のことはそれなりに分かるものの、水産科のことは皆目分からない。しかも海のない県の水産科の高校とは随分と妄想力をかっ飛ばしたものだ。と思ったら巻末に資料があって実際に栃木県立高校に水産科を設置している高校が実在するのだ。河川の水産資源を学ぶのが馬頭高等学校である。

 ストーリーは主人公の女子高生をとりまく学園生活である。事情があって自宅のある宇都宮から離れた那珂川水産高等学校へ入学した。熱意のある教員とユニークな生徒たちの中で成長していく姿を描く。典型的な学園もので、普段はこういうジャンルは読むことがない。読み進むうちに水産科のカリキュラムのこととか、専門的な知見とかが織り交ざっていてなかなか興味深いところがある。この度刊行された続編も読んでみようかと思う。