本の感想「先生、イソギンチャクが腹痛を起こしています!」小林朋道

本の感想「先生、イソギンチャクが腹痛を起こしています!」小林朋道(築地書館

 「先生シリーズ」の第10巻目。この本のタイトルはどうしても気になる。イソギンチャクが腹痛を起こすとどうなるのだろう?まず、何故腹痛になるのかというと、適切でない給餌をするからで、そもそもイソギンチャクへの給餌というのはなかなか難しいものだという。小林先生は肉食魚用のフレーク状の餌を与えてみた。フレークの量が少し多すぎたようで、口への取り込みがぱたっと止まった。そしてヒトが腹痛でおなかを抱えるような様子で、体が少し曲がってきた。翌日になるとイソギンチャクは触手を閉じたまま体が傾き、ついには岩の上で溶けるようにして死んでしまった。さらに驚くのは、その後、小さなイソギンチャクが次々と水槽内に出現し大きくなる前に全て姿を消したということ。まさに生命の驚異!何とも不思議なことが起こるものだ。イソギンチャクの生死と世代交代と消滅の推移を記した本はおそらく他にはないだろうと思われる。