本の感想「ナカスイ!海なし県の海洋実習」村崎なぎこ

本の感想「ナカスイ!海なし県の海洋実習」村崎なぎこ(祥伝社

 前作を読んですぐに、こちらが図書館に貸し出し可能になっていた。前の作品は主人公が高校1年生で、この作品では2年生になっている。もしかすると3年と卒業までを描く次作の構想があるような気がする。

 この作品では主人公が別の学校の生徒に思いを寄せていく様子が描かれているが、そうもその展開がメインになり過ぎている。学園小説の「いかにも」になってしまったのは陳腐だと感じた。転校生が来て僅か半年ほどでまた別の学校へと転校していくという絡みもある。主人公もその転校生も家庭の経済事情がはかばかしくなくなるという問題も発生する。そういった困難を乗り越えようとするところに、前作からさらにスケール・アップした主人公の成長ぶりがある。残念ながらストーリーとしての出来栄えは前作よりも控えめだと感じた。