本の感想「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」村上春樹

本の感想「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」村上春樹文藝春秋

 そもそもデヴィッド・ストーン・マーティンについて知らなかった。ジャズのレコードのジャケットデザインで多くの傑作を残した画家だそうだ。著者のレコード・コレクションからこの人の作品を紹介して、演奏についても深いマニアックな批評を記している。だから、この本はジャズの愛好家でないと読みこなせないわけで、私には書いてあることの大半は訳が分からなかった。ジャケット・デザインのユニークで都会的な印象には好感を抱いたのと、著者の愛好するジャズについて語る軽やかな文章を楽しめたということになる。ジャズ・ファンとデヴィッド・ストーン・マーティンが好きだという人には文句なしの1冊だろうと思う。