本の感想「日々是口実」土屋賢二

本の感想「日々是口実」土屋賢二(文春文庫)

 週刊文春の連載エッセイをまとめたもの。初出は2018年7月から2019年10月まで。

文庫のシリーズには作家などが解説を記していてこれもこのシリーズの読みどころである。本書では土屋幹男氏が担当していて、著者の弟である。この人がどういう職業なのか分からないが、少なくとも著名な作家ではないと思われる。エッセイの中にも時々、「妻と弟と一緒に旅行した」ということが書かれているので、解説の中でもそのことを補足説明してあったりもする。だけれども、土屋幹男氏は著者が捏造した架空の人物なのかもしれない気がする。解説の文章がいかにも著者本人が戯れて書きそうな内容なのだ。それほどに面白い。本編で一番笑わされたのは「ある異星人の反省文」で、「地球人に紛れて暮らしている異星人が書いた反省文を入手したので紹介する。」で始まる妄想力全開の一遍は見事としか言いようがない。