本の感想「ガン入院オロオロ日記」東海林さだお

本の感想「ガン入院オロオロ日記」東海林さだお文藝春秋

 著者がガン手術のために入院したときのことを書いたエッセイだが、その部分は全体のごく僅かしかなくて、その他色々なトピックが収められている。最後には翻訳家の岸本佐知子さんとの対談がある。オリンピックを批判する内容で、痛快だった。こういうものをJOCの山下氏がぜひとも読むべきだ。この対談は東京2020が決まった後でコロナ禍になる前に行われている。傾聴すべき発言をいくつか。

 岸本:オリンピックが始まると、朝から晩までオリンピックですよね。なんか、ちやほやされてて憎い。

 岸本:まず、メダルにすごくこだわってるじゃないですか。じゃあ四位はどうなるんだと思うわけです。(中略)そのくせ、それまで全然見向きもしなかったマイナー競技でも、メダルを獲ると急にちやほやして。

 東海林:冬季も含めて、二年に一回反オリンピック座談会とかやればいい。絶対ウケるよ。みんなが面白がって当然だというような空気はよくない。