本の感想「知らないと恥をかく中国の大問題」池上彰

本の感想「知らないと恥をかく中国の大問題」池上彰KADOKAWA

 中国の近現代史と目下の状況を分かり易く解説してありとても役にたつ本だと思う。とりわけ「習近平が目指す派遣大国の行方」が詳しく分析されている。権力が一人に集中しているとこういうことになっていて、これからはこういうふうになるのではないかという見通しが思索されている。普通に普段のニュースを見ていただけでは全く分からないようなことが紹介されているのも興味深い。例えば、ダライ・ラマ14世についてのこと。ダライ・ラマは生まれ変わりを見つけることで代を継いでいく仕組みになっていて、次のダライ・ラマを認定するのはパンチェン・ラマである。ダライ・ラマ14世が1995年に認定した当時6歳の少年がパンチェン・ラマ11世だが、その認定の数日後に行方不明になった。それからしばらくして中国共産党が別の少年をパンチェン・ラマ11世だと発表した。こういう経緯があるので次のダライ・ラマ15世は共産党の意図する通りに認定されることが予想されるという。共産党の関与は明白だろうと推定されるわけで、独裁政権とはこういうことまでやってしまう。