本の感想「昭和38年北海道鉄道旅行写真貼」写真:小川峰生 解説:牧野和人

本の感想「昭和38年北海道鉄道旅行写真貼」写真:小川峰生 解説:牧野和人

(フォト・パブリッシング)

 写真撮影した小川氏は昭和38年(1963年)に北海道をぐるりと反時計回りで撮影旅をした。その時の記録写真集である。3月1日から11日までの期間に撮影されている。このような記録写真を見る楽しみというのは格別である。撮影機材の性能も今と比べればまったく違っていたものの当時はこれが最先端技術だった。隔世の感がある。人々の服装や路面電車と一緒に移っている街並みや車なども当時の社会を想像する手掛かりになる。ひとつ気になったのは撮影の日付である。積雪がない写真が多いのだ。3月初めの北海道の景観としてはこれは違う気がする。おそらく4月の撮影だったのではないだろうか?何かの事情で1カ月日付の記録がずれてしまったのではないかと思われる。

 それにしてもこのような個人の記録写真が書籍化できたのは驚かされた。個人で購入するケースは稀だと思われるので、全国の、とりわけ道内の図書館では郷土資料として備えておくに相応しい1冊だと思う。