池上氏は朝日新聞社からの依頼があり、平昌オリンピックを前にして度々韓国への取材に出かけた。その取材をもとにした記事や関連する解説でこの本ができた。したがって、本書に載せられた様々なデータは少し古い。興味深いデータを幾つか転記しておく。(2018年調査)
*日韓両国で相手国がどんな国だと思っているか。
日本世論 韓国世論
平和主義 18% 8%
国家主義 42% 40%
民族主義 55% 35%
民主主義 26% 27%
軍国主義 27% 45%
国家協調主義 7% 5%
資本主義 29% 40%
自由主義 10% 14%
大国主義 6% 22%
覇権主義 8% 22%
社会主義 6% 7%
ということになっていて、両国とも相手国の実情を正確に理解しているとは言えない状況だと分かる。また、相手国に行きたいかという好感度調査においては次の通り。
行きたい 36% 73%
行きたくない 40% 20%
わからない 24% 7%
本書のまとめとして「韓国人に望むこと」が書かれているが、その最後はこう終わっている。「日本の人と韓国の人の感情的な軋轢は、互いの国の事情や立場、歴史的経緯をよく知らないがゆえに起こることが少なくありません。学ぶことの大切さが改めて実感されます。」と全く凡庸な結論になるのだが、至言でもある。この本が日本で読まれるだけでなく韓国語に翻訳されて多くの読者を得られるといいと思う。