本の感想「白亜紀往事」劉慈欣 大森望、古市雅子 訳

本の感想「白亜紀往事」劉慈欣 大森望、古市雅子 訳 (早川書房

 劉慈欣の大ヒット作「三体」が邦訳されてから、後追いで初期の作品も出版されるようになった。しかしその中で「三体」に匹敵するような傑作はないと思う。この作品もその類の1冊だった。

 白亜紀に恐竜とアリが共生関係になり、互いの長所を発達させることで知的な文明社会を構築していくという荒唐無稽な話。両者の関係が悪化して戦争になることもあるが、やがてデタントが到来する。人類の近現代史をパロディに仕立てているという技も利かせてある。200頁の長さで直ぐに読み終えることができるので、ちょっとした合間に暇つぶし的に読むのであればお手頃な本である。