本の感想「先生、アオダイショウがモモンガ家族に迫っています!」小林朋道

本の感想「先生、アオダイショウがモモンガ家族に迫っています!」小林朋道(築地書館

 シリーズ13巻目。本のタイトルにある通りの設定を実験で試した。母親モモンガと3頭の子供を飼育箱に入れて一定期間馴らす。そこに実験室で飼っているアオダイショウの頭部をモモンガの巣に近づける。ヘビは飼育箱の外で著者が抑えているので実際にモモンガを襲うことにはならない。母親モモンガはヘビの接近を察知するとできる限り遠くへ逃げてじっと動かず防御姿勢をとるのだという。子供モモンガを守るような行動はとらなかった。ヒトの考え方からすると、母親モモンガが子供を守る行動をとるのではないかという「期待」がある。ヒトとモモンガのそれぞれの生存戦略は共通であって、どうやって子孫をより多く残すかということ。逃げるか立ち向かうかという具体的な行動のどちらがよいかはそれぞれの事情による。モモンガのような多産系の動物は生存力の弱い幼獣を守ることよりも、母親が生き残って次の出産に臨むことの方が相応しい生存戦略なのだろう。

 このシリーズにはいつも大切な学びがある。