本の感想「胡蝶殺し」近藤史恵

本の感想「胡蝶殺し」近藤史恵小学館

 主人公の歌舞伎役者には小学生の息子がいる。自身の後継ぎとして同じ道を選ぶことを期待している。主人公に自分の息子と同い年の子供の後見人になって欲しいという依頼があった。その子の父親の歌舞伎役者が亡くなったことでこういう事態になった。主人公は自分の息子の指導に加えてあずかった子供にも稽古をつける立場となった。技量は自身の息子よりもあずかった子供の方が優れている。この2人が切磋琢磨して成長していくのか、何かが原因で仲たがいのようなことになるのか、いくらかの不安を抱えながら歌舞伎の世界を歩んでいく。二人の初舞台を前にした稽古の最中に後見している子供にあるトラブルが発生し、その緊急対応から想定していかかった事態が起こっていった。

 歌舞伎界のように世襲制が一般的になっている世界では「後継ぎ男児」が生まれることが期待される。しかし、全ての男児が歌舞伎に適性があるとは限らないのだし、昨今は世襲制度が必ずしも絶対的ではなくなっているようだ。LGBTQだっているだろうし

「後継ぎ男児」ということ自体にも無理がある。この物語ではそういったことには少し触れているだけであるが、現実には切迫した状況のところもありそうに思われる。