本の感想「あいにくあんたのためじゃない」柚木麻子

本の感想「あいにくあんたのためじゃない」柚木麻子 2014_03

 短編6作品を収める。少し気を抜いて読んでいたせいかもしれないが、ストーリーの細部を掴みにくかった。登場人物のそれぞれの作り込みすぎているような印象をもった。小説の中にSNSや動画配信なおのさまざまなプラットフォームが登場するのは当たり前になった。本書も例外ではない。あまりそういうことに馴染みがないと、しっくりこないところがある。SNSで炎上とか誹謗中傷の手段に使われることがしばしば問題になるが、こういうシステムの特性上、無責任で匿名性のいいっぱなしが出現するのは避けられない。そういう類のことは相手にしないで無視するというのが最も簡単な被害対策になるのだろう。誰であろうと発信することに全ての人が賛成したり共感したりするはずはない。自分の発信に対して反対者もいれば共感しない人もいるのは当たり前の事だから、そういうものだと達観するしかないのだし、場合によっては反省することもあるかもしれない。