本の感想「惣十郎浮世始末」木内昇

本の感想「惣十郎浮世始末」木内昇中央公論新社)2024_06

 江戸を舞台にした犯罪ミステリー。主人公の惣十郎は同心で犯罪者の心理を探求する捜査手法を得意とする。配下には捜査力、機動力、洞察力に長けた部下がいる。事件は薬店の火災で放火だと判断された。焼死者は二人いて、1人はこの店の番頭で、もう一人は身元不明であった。物語はいくつかのサイドストーリーを絡めながら放火事件の謎を追及しつつ進んでいく。結末は思いがけない人物がキーパーソンになっていたことが判明する。綿密な伏線を張りながらじわじわと展開していって驚きに満ちた結末にもっていく展開は見事なものだ。