本の感想「はじめてであう安野光雅」安野光雅・森田真生

本の感想「はじめてであう安野光雅安野光雅・森田真生(新潮社・とんぼの本

 安野さんは2020年12月に亡くなったのでもう3年経とうとしている。この本は安野さんが残した膨大なお仕事を紹介してある。多くの作品が取り上げられているが、全てのお仕事のごく一部でしかない。それでも、もしこの本を手に取って初めて安野さんを知った人がいるとしてもその作品群の質の高さと量の膨大さには圧倒されるだろう。

 安野さんの作品には楽しさが横溢している。描きながら安野さんご自身も楽しくなっているのだろうと思わされる。本の装丁や切手デザインなどの分野でも活躍されていて、安野さんの作品と知らずに身近なところで見かけていることもあったはずだ。著書も多く残しているし、放送メディアでも柔らかな口調で時に辛辣なことも遠慮なく発言する本当の教養人であった。

 松岡和子さんがシェイクスピアの新訳を出すことのなった時に、ぜひとも安野さんに装丁をお願いしたいと依頼したのだそうだ。それが実現して全訳が完成したが、気になりつつもまだ入手していない。今度、大きな書店に行ったら現物を手に取ってみようと思う。全部は購入できないだろうが、何冊かは入手しようと思う。