本の感想「どれほど似ているか」キム・ボヨン 斎藤真理子 訳

本の感想「どれほど似ているか」キム・ボヨン 斎藤真理子 訳(河出書房新社

 著者は韓国で「もっともSFらしいSFを書く作家」と言われているとのこと。短編10作品を収めている。SF的なレベルが高すぎてストーリーを追いかねるような作品もあった。あたかも現代美術のかなりとんがった作品を見るのと同じような印象と例えればよいのかもしれない。そういう作品はじっくりと鑑賞して分かろうとしてもだめなのだろう。だから、超SF的な作品は再読して全体を分かろうとするよりも、よく分からなくても意外性を感じ取れればそれでよいのだろうと考えた。

 筒井康隆の作品にあるような言葉のマジック的な作品もあるし、社会風刺的なストーリーもある。SF的な想定自体にびっくりさせられるものもあった。韓国の作品を読むときに困るのは登場人物の名前を覚えにくいことと、名前で男性か女性か見当がつかないことである。とりわけ登場人物が多いとこんがらがってしまう。