本の感想「もうあかんわ日記」岸田奈美

本の感想「もうあかんわ日記」岸田奈美(ライツ社)

 初めて読む作家でこの本についても予備知識はゼロだった。当たりはずれは読んでみないと分からない。著者は東京をベースに働いているが、実家は神戸にある。実家には心臓の大手術を受けて車椅子生活になった母と、認知症の祖母、ダウン症の弟がいる。実家で何か手に負えない事態が発生すると、著者が実家に駆けつけてトラブル対応をする。かなり大変な生活だが、そのことを「日記」の形でネット上にアップロードした。そうすることで自身にとっての気分転換になった。そういう事情だからこの日記はできるだけコミカルな感じで記されている。実情はお気楽なことばかりでないのは言うまでもない。読者としては気楽に読むものではあるし、著者もそれを望んでいる。だから、私もごく気楽な読者だった。しかしながら「こういう事態も決して特別な事例として済ませるものではない」とも思わされた。