本の感想「ガラスの城壁」神永学

本の感想「ガラスの城壁」神永学文藝春秋

 何の予備知識もなくたまたま手に取った本である。行き当たりばったりの本が「当たり」になる可能性はあまり高くはないものだ。この本も「外れ」と言えばそうかもしれない。ストーリーは分かり易いし、長編でもないのですらすらと読み終えた。暇つぶしの役には立つぐらいのポテンシャルはあるのだろう。物語の重要なポイントになる仕掛けが安直過ぎるのが残念なところだと思った。「ここまで読んできて最後はそれか?」という感じは否めない。

 主人公は中学生でいじめの被害にあっている。その原因は父親が誤認逮捕されたことにあった。容疑は晴れたのだが一旦犯罪者の息子になってしまったことで、いじめは止まなかった。物語は父親の冤罪を引き起こした真犯人を見つけようとする主人公を描く。それに絡んでくるのが求職中の刑事で、主人公の少年とはある繋がりがあったことが分かってくる。