本の感想「数をかぞえるクマ サーフィンをするヤギ」ベリンダ・レシオ 中尾ゆかり訳

本の感想「数をかぞえるクマ サーフィンをするヤギ」ベリンダ・レシオ 中尾ゆかり訳(NHK出版)

 本のサブタイトルは「動物の知性と感情をめぐる驚くべき物語」で、動物を使った様々な実験と観察を通してこのテーマを考察した記録である。学者たちは実に多彩な実験を考えだすものだと驚かされるし、その結果から導き出される仮説にも仰天させられる。ヒトの知性と感情は基本的にはヒト特有な仕組みなのだろうが、動物にも似たような仕組みがそなわっていて、両者はある部分では重なり合ったり共鳴し合ったりするものらしい。動物言語学は鈴木俊貴氏のシジュウカラの研究が注目を集めていて今後さらなる成果が期待されている。本書でも動物が文法を持ったコミュニケーションをしていることを示す事例が紹介されている。空間認識能力の実験ではダンゴムシが視覚で天体のパターンを読み取って移動に役立てていると分かったという。この他にも大変興味深い実験が紹介されている。