本の感想「馬の惑星」星野博美

本の感想「馬の惑星」星野博美集英社

 馬が生活文化に深く関わっている地域を訪ねるルポルタージュで、モンゴル、スペイン、モロッコ、トルコを取材した。歴史も馬文化の視点を通して見ると、単に人の視点から捉える場合とは異なって見える。著者は趣味で乗馬をたしなむので、訪れた各地で現地の馬に乗る体験もする。場所によって乗馬の流儀も違うのだが、共通していることは馬を走らせることではなく、止めることの重要性だという。馬は人の可能性を拡大するがリスクも伴うのだ。リスクは最小化しなければならない。

 最終章で紹介される「遊牧民のオリンピック」はこれまで聞いたことがなかった。馬を使った様々な競技が行われるイベントでは2022年にはトルコで開催された。日本では放送されることのないものなので、こういうことが行われているのを知るだけでも大変興味深い。