本の感想「オパールの炎」桐野夏生

本の感想「オパールの炎」桐野夏生中央公論新社)2024_06

 主人公は1945 年生まれの女性で京大の薬学部を卒業した。戦後の女性解放運動のリーダーとなったが活動のやり方にはパフォーマンス過剰の面もあった。やがて新政党を立ち上げて選挙に挑んだり、宗教活動を始めたりもした。社会からの注目を集めたが、やがて人々の関心から外れて行った。そしていつの間にか行方は全く分からなくなった。この女性についての取材を開始した若手のライターがいた。物語はこのライターが少ない手がかりをつかみ、主人公の女性に何らかの繋がりがあった人たちを探しだしてインタビューを試みる。本書はその取材記録の形式で書かれている。誰かモデルにした実在の人物がいてそれを物語風にアレンジしたのではないかと思わされた。