本の感想「坂上に咲く」原田マハ

本の感想「坂上に咲く」原田マハ幻冬舎)2024_03

 棟方志功の伝記小説。棟方の幼少期から金銭的に苦労が絶えなかった時期を経てようやく世の中に認められるようになるまでを描く。原田氏はがアーティストの伝記的小説を手掛けることが多いがどれも読み易く、適度にフィクションを織り交ぜながらテンポよくストーリが展開していく。本書も棟方の人となりを魅力的に描いている。柳宗悦らとの偶然の出会いがあり、その後のサポートを受けたことなどは本書により初めて知った。ずっと以前に倉敷の大原美術館を訪ねた時に棟方作品が多数所蔵されていて鑑賞することができた。その後は作品をに接する機会はなかったが、本書に出てくる作品を見てみたくなった。