本の感想「校閲記者も迷う日本語表現」毎日新聞校閲センター

本の感想「校閲記者も迷う日本語表現」毎日新聞校閲センター(毎日新聞出版

 身近な言葉の使い方を考察するためにはこのような本は大いに役に立つし、とても興味深い。新聞に連載した記事を元にしているので、まとめて再読したことになるのだが読みごたえは十分だった。

 自分もうっかり使ってしまっていると思ったのは「すごい+形容詞」の例。「すごい嬉しい」などの言い方は、カジュアルな会話ではついつい使ってしまっていることがあると思う。流石に書き言葉では使わないが、文法的には確かに誤用である。一部の辞書ではこの「すごい」を「副詞的に用いられることがある」ことを紹介していて、今後はこの説明を付加する辞書も増えてくるのかもしれない。

 違いが分からなかったのは「おざなり」と「なおざり」で、両方とも同じ意味だと思っていた。違いは「基本をおざなりにする/基本をなおざりにする」「なおざりな返事」の例で考えると、「おざなり」はいいかげんな態度ですること、「なおざり」はいいかげんに考えて放置すること」となっている。つまり一応「する」のが「おざなり」で、「しない」場合もあるのが「なおざり」ということなのだそうだ。ちゃんと記憶して区別して使えるようになるか自信がないが「おざなり」にはできない。この場合は、「なおざり」にできないでもいいのだろうか?