本の感想「本が多すぎる」酒井順子

本の感想「本が多すぎる」酒井順子(文春文庫)

 書名は本文中に紹介されている書店で聞こえてきた会話に基いているらしい。「都心の大きな本屋さんに行ったら、「ちょっといっぱいありすぎるじゃねぇのかー、本!」

というおじさんの声が聞こえてきたのだった。次の瞬間、奥さんらしい女性が、「本屋さんなんだから当たり前じゃないのよっと」と、一言。奥さんの言うことも、ごもっとも。しかし私は思わず出てしまったのであろうおじさんの叫びにも、心の中で深くうなずいていた。」

 書評集だが本の紹介エッセイというほうがよさそうに思う。言うまでもなくエッセイの名手による紹介だから読みごたえがある。なかなか自分では手に取らないような本が多く紹介されている。早速読もうとは思わない本でも酒井氏の解説を読むだけでも十分に楽しめる。