本の感想「観月」麻生幾

本の感想「観月」麻生幾文藝春秋

 父親を8歳の時に亡くしている主人公の女性は母と大分県で二人暮らし。父が亡くなってから20年経つが、その間ずっと近所のパン屋と親しい関係継続していた。ある日、パン屋夫妻の妻が殺害された。警察は夫が何らかの関与があると考えて事情を聴くが、「妻が殺されたのは自分の責任だ」という以外のことを話さない。警察は夫自身が犯人ではないかとの疑いを持つ。ところ変わって東京である男性が殺害される。捜査がすすんでいくと、大分の殺人事件と関わりがあることが判明する。何らかの繋がりがあるのだが、その正体が分からない。主人公の女性はストーカー被害を受け、その犯人がパン屋の妻の殺害と関係しているかもしれないという疑いも浮かんでくる。捜査が進むと過去の意外な事情が明らかになっていく。

 謎が謎を呼ぶというような展開になっていくが、ストーリーとしてちょっと無理筋過ぎるような印象があった。最後で一連の事情の謎解きはするのだが、少々分かり難さを感じた。読み始めて程なく再読だと気が付いたが、筋書きは思い出せなかった。以前、読んだ時も同じような印象だったのだろう。