本の感想「貸本屋おせん」高瀬乃一

本の感想「貸本屋おせん」高瀬乃一(文藝春秋

 江戸の素人探偵が活躍する5話を収める。探偵役は貸本屋を営む女性で商売をしながら様々な情報を収集し推理を働かせ謎解きをする。子供の頃に母親は家を出ていき、父親は自殺してしまったので苦労して商売を立ち上げて才覚を発揮して生活を成り立たせている。主人公に思いを寄せる若者がいてしばしば「捜査」に協力する。あまり時代小説を読むことはないのでちょっと不慣れな印象があったがミステリーとしてまずまず楽しめた。江戸の人たちの暮らしぶりの描写が生き生きとしている。この本が作者にとっての単行本デビュー作である。最新作の「無間の鐘」が出たばかりななので読んでみたい。