本の感想「小さな神たちの祭り」内館牧子

本の感想「小さな神たちの祭り」内館牧子潮出版社

 著者が脚本を書いたドラマを小説にリライトしたもので東日本大震災をテーマにしている。震災で亡くなった人たちが死者の国にいて、主人公は「あちらの世界」へ2度行って戻ってくる。死者たちの世界では亡くなった人々が生前と同じような暮らしを営んでいる。という設定があまりにも荒唐無稽過ぎて興ざめだった。亡くなった人々のそれぞれの死を軽薄な設定に無理矢理押し込んだような印象を受けてしまい嫌な感じがした。あとがきを読むと分かるが作者にそういった軽薄な意図は全くない。だけれども、一読者としてはすっきりと納得できない印象が残った。TVドラマは成功したということで面白かったのかもしれないが、率直に言って本書は少なくとも私の許容範囲には収まりにくいものだった。