本の感想「別れを告げない」ハン・ガン 斎藤真理子 訳

本の感想「別れを告げない」ハン・ガン 斎藤真理子 訳 (白水社)2024_04刊

 分かり難い作品だった。最初の40頁ほどを読んで、どうも掴みどころがなくて一旦読むのを止めた。数日の間を空けて、再度最初から読み始めた。それでも読んでいても流れを捉えることがうまくいかなかった。主人公は作家である。ある日友人からメールが届いた。家具職人をしているその友人は工房で大怪我をして入院している。友人は自宅にオウムを飼っていて、誰かが世話をしないと死んでしまう。主人公はオウムの救出のために友人の家へと向かう。ソウルから済州島に着くと現地は雪が降る荒天だった。バスの運行も怪しくなる中でようやくのこと友人の家にたどり着いた。この先は、主人公の回想が断片的に描かれる。回想なのか妄想なのかの判別もよく分からない。その中で、済州島四・三事件(1948年3月3日に済州島民が起こした武装蜂起を契機とした事件で国家権力により多数の住民が虐殺された)に巻き込まれた人たちの言葉が紹介されていく。

 という風に読んだのだが違っているのかもしれない。最後までストーリーに入る込むことが出来ず途中で止めようかとも思ったのだが困惑したまま読了した。