本の感想「Medieval Legends  中世ヨーロッパ物語集」三浦常司 今井光規 編注

本の感想「Medieval Legends  中世ヨーロッパ物語集」Adapted and Edited by Philip S. Jennings 三浦常司 今井光規 編注 (英宝社)1989_10刊

 大学の授業用のテキストだが、英文科レベルの内容になっている。元になっているMedieval Legendsには20作品が収められていて、そのうち6作品を選んである。英語のレベルは難しい方だと思う。特に、一話めの Amleth's Revengeが一番難しかった。厄介なテキストだと思ったが、二話め以降はこれよりも大分読み易かった。Amleth's Revengeはシェイクスピアハムレットの原話だという。読んでいる最中にAmlethはHamletのアナグラムになっているのが分かったが、シェイクスピアも割と安直なお遊びをするものだ。文章は現代英語に訳されているので古語の英語は出てこない。しかしながら、現代通常に使われている英語になっているということではない。それなりに厄介を覚悟して読まねばならない。

 本書が発刊になったのはもう四半世紀前のことになるが、今でもこのようなテキストが大学の授業で使われることがあるのだろうか?騎士が美女を得ることを目的として戦いを挑んだり、魔法使いや竜が出現したり、復讐を達成するためにはどんな辛苦も厭わなかったり、中世の社会規範は今とは違うとも、似たようなものだとも思える。