本の感想「ガラム・マサラ!」ラーフル・ライナ  武藤陽生 訳

本の感想「ガラム・マサラ!」ラーフル・ライナ  武藤陽生 訳 (文藝春秋

 インドの作家の作品を読むことはもしかすると初めてかもしれない。という興味もあって読むことにした。

 主人公は「教育コンサルタント」を自称していて、仕事の実態は大学入試の替え玉受験を請け負う。この度のクライアントは特に学力が低い学生だったが、首尾よく替え玉受験が成功して、しかもトップの成績を取った。このことでクライアントは一躍、注目をあびて様々な業界から引く手あまたの状態になった。主人公はその対応を引き受けるマネージャーとして雇われることになった。テレビのクイズ番組にも出演して人気になる。こういった人気にはカネがらみの様々な罠が仕掛けられることになり、物語はクライム・ノベルとなっていく。

 読み易さに難点があると感じたのは、メインのストーリーの読み取りに苦さにある。枝葉の余計な描写が多すぎる。多分、そういう枝葉に面白さがあるのだろうが、慣れていないと読み易さの阻害要因になりがちだ。もっと展開をすっきりさせれば読み易いし楽しみやすいのだと思うが、それは個人の感想であり、こういったゴチャゴチャ感を気に入る人もいるはずだろう。