本の感想「遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実」吉田太一

本の感想「遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実」吉田太一(青春新書)

 著者は日本で初めて遺品整理業の会社を起業した。それから6年間の経験を書籍化して2008年にこの本が出版された。内容はいささか古いが、この仕事の内実は今も当時も大きな変化はないのだろう。こういうようなことまで取りあつかっているということを知るにはこの本はとても役に立つ。亡くなった人の後始末をすることで様々なことが分かってくるもので、中には遺族には知らせない方がいいこともある。そういう配慮をしながら仕事を進めていかねばならない。依頼者には感謝されることばかりではなく、時には非難されるようなこともあるのだという。死者と生者との間には何らかの確執が残っていることもあるし、遺産増賊の問題が出来することもある。身寄りのない人が亡くなるケースもある。著者は遺書をしっかり準備しておくことを勧めている。昨今ではなデジタルデータが残されることがあるが、スマートフォンやPCなどはパスワードで保護されているからそのままデータとしてネット上に残っているだけという状態にもなっているのではないだろうか。ネット上で更新されないデータは一定期間の後に自動的に削除されるというルールも必要になるのかもしれない。