本の感想「お隣の外国人」吉永みち子

本の感想「お隣の外国人」吉永みち子平凡社

 昨年のデータによると日本で就労している外国人はおよそ200万人だという。そのうち国籍別で最も多いのはおよそ50万人のベトナム人だ。このルポではアジア、中東、中南米から来日している外国人たちを取材した。全部で12組だが状況は色々で、単に出稼ぎ目的の場合もあれば、日本人の配偶者がいる場合もある。出版は1993年とかなり古いので日本で働く外国人の状況は少なくとも改善のほうこうにはあるのだろうが、未だに労働条件面でブラックなところもあるし、ヘイトや差別の被害を受けている人たちもいる。政府は労働力不足の対策として外国人労働者を増やす計画を進めているが、かつて円高だった時代と違って日本で働いてもかつてのようなお金にはならなくなった。抜本的に労働条件を改善しなければ定着は期待できない。この本の取材はそれぞれの祖国の料理を作ってもらうという仕掛で取材した。料理を作って一緒に食べると、その後では色々なことをよく話してくれるようになったという。うまいところに目を付けて取材したものだと思う。